線形代数(linear algebra)
線形代数について復習する機会があったので、やったことをまとめとく。
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線形代数は上のページの中の左[mathematics]->[Linear Algebra]。
行列(Matrix)
基本事項
行列, 行列, 行列 としたとき,
クロネッカーのデルタ(Kronecker delta)、単位行列(identity matrix)の定義
非負整数, 正方行列(square matrix)について、
が対称行列も対称行列
ある自然数に対して,
は冪零行列(nilpotent matrix)
は冪等行列(idempotent matrix)
上三角行列どうしの積は上三角行列であり、下三角行列どうしの積は下三角行列
特に、が対角行列(diagonal matrix)のとき、
,
, 特に のとき と は可換(commutative)
, , , 零因子(zero\ divisor, null factor)が存在する
※つまり, であっても、またはとは限らない。
ただし, については,
または
任意のベクトルに対して、
(教養の線形代数p18)
,
, ※行列に対して, ※のとき,
かつ
, ※行列に対して,
かつ (※逆は成り立たない)
かつ (※逆は成り立たない)
, 正方行列について、
または
は対称行列(symmetric matrix)
は交代行列(alternate matrix)
,
任意の正方行列について、
は対称行列, は交代行列
行列の分割
が同じ形に分割されていれば小行列を成分とみて、和と差が計算できる。また、の列の分け方と、の分け方が同じであれば、小行列を成分とみて積が計算できる。
ここで、
,
とおくと、
行列と、行列を行ベクトル分解、列ベクトル分解すると、
となり、について、次の等式が成り立つ。
連立一次方程式と階数(System of Linear Equations and Rank)
基本変形
基本行列(elementary matrix,fundamental matrix) | |
: 単位行列の第i行をc倍した行列 | |
: 単位行列の第i行に第j行のc倍を加えた行列 | |
: 単位行列の第i行と第j行を入れ替えた行列 | |
行基本変形(fundamental row operation)(左からかける) | |
: の第i行をc倍した行列 | |
: の第i行に第j行のc倍を加えた行列 | |
: の第i行と第j行を入れ替えた行列 | |
列基本変形(fundamental column operation)(右からかける) | |
: の第i列をc倍した行列 | |
: の第i列に第j列のc倍を加えた行列 (※添え字注意) | |
: の第i列と第j列を入れ替えた行列 |
すべての基本行列は正則行列で、
、 、
階段行列(matrix in echelon form)
●あるに対して、第1行から第まではどれも零ベクトルではなく、残りの個の行はすべて零ベクトルである。
●第i行の成分を左から順にみて、でない最初の数は1である。また、この1が第行の番目にあったとすると、
●第 列 はm次基本ベクトル である。
例: 階段行列
変形定理
任意の行列 は、適当な行基本行列変形を何回か行うことにより、必ず階段変形できる。(教養の線形代数pp.25-27)
※ は基本行列で、は正則。
ここで、 の階数(rank)は
※任意の正則行列は基本行列の積で表せる。
※行列 の階数 は、 自身によって定まる定数である。(教養の線形代数p44)
※任意の行列 の階段行列はただ一つである。
連立1次方程式(system of linear equations)
連立1次方程式(system of linear equations)
: 係数行列(coefficient matrix)
: 未知数ベクトル(unknown vector)
: 定数項ベクトル(constant term vector)
: 拡大係数行列(augmented matrix)
を行基本変形してを導いて解く
未知数の連立1次方程式 の解 (教養の線形代数p32)
はただ1組の解を持つ が正則()※が行列のとき
は無数の解を持つ
※解がない(矛盾している)とき、
解の自由度(degree of freedom)は
例えば、
は任意、自由度2
同次連立1次方程式(homogeneous system of linear equations)
未知数$n$の同次連立1次方程式(homogeneous system of linear equations) の解 (教養の線形代数p35)
は常に自明な解(trivial solution) をもつ
は自明な解 のみもつ が正則()※が行列のとき
は無数の解を持つ
解の自由度は
任意の解は、個の解 と任意定数を用いて、
と表せる。
を一般解(general solution)、 を基本解(elementary solution)という。
解全体の集合を解空間(solution space)、基本解の集合を解空間の基底(basis)という。
未知数 の同次連立1次方程式の基本解の性質 (教養の線形代数p36)
●基本解は1次独立
●基本解は解空間の生成系
●基本解の個数は解空間の次元に等しい
行列の標準形
任意の行列は適当な行および列基本変形を何回か行うことにより必ず標準形に変形できる。
(行基本変形に対応する基本行列の積)正則行列、(列基本行列に対応する基本行列の積)正則行列が存在し、
と表せ、標準形は一意的に決まる。(教養の線形代数pp42-43)
行列の階数(rank)
の階段行列 の零ベクトルでない行の数 | |
の標準形に表れる1の個数 |
行列の階数 は、 自身によって定まる定数である
の行数、 の列数
が正則
が正則
、が正則
、
基本変形をしても階数は変わらないことを考えると、
が実行列のとき、
(証明)
逆に、
したがって、 と の解空間は等しい。
特に次元が一致するから (証明終わり)
行列式(determinant)
符号(sign)
転倒数, 長さの順列の符号を
で表す。
例:
行列式(determinant)の定義
行列式(determinant):次正方行列から定まる数
ただし、は長さのすべての順列についての和を表す。
例:3次の行列式
長さ3の順列は個
Sarrusの方法(Sarrus's method, Rule of Sarrus):右斜め方向の積和、左斜め方向の積差で3次以下の行列式を求める方法
行列式の基本性質
(教養の線形代数pp.55-66)
●多重線形性(multi linearity):「多重」はどの行または列についても成り立つということ
●交代性
●他の行あるいは列の倍を加える
●値が0になる行列式
あるについて、
あるいは
あるいは
●次数を下げる一般公式
●その他
が同じ次数の正方行列のとき
(教養の線形代数p76)
は正則で、
(教養の線形代数p77)
を正方行列とすると、(教養の線形代数p76)
を正則行列を任意の正方行列とするとき、(教養の線形代数p77)
余因子(cofactor)
の余因子(cofactor):の第行と第列を除いた行列の行列式を倍した数
●余因子展開(教養の線形代数pp.67-68)
次正方行列に対して、
の第行を個のベクトルの和 として(列に対しても同様にして)、行列式の多重線形性を考えると、第行に関する展開と第列に関する展開は、
●余因子の性質(教養の線形代数pp.68-69)
次正方行列に対して、第行あるいは第列が第行あるいは第列と等しい行列式(=0)の余因子展開を考えると、
余因子行列:
の成分の成分なので(についても同様)、
(教養の線形代数p77)
●逆転公式
ならば、
●Cramerの公式(Cramer's fomula)
連立1次方程式について、係数行列が正則()ならば、ただ一組の解
をもつ。
(証明)
をの列ベクトル分解を使って書き表すと、
したがって、各について、
である。
は正則()なので両辺を割って、Cramerの公式が導かれる。 (証明終わり)
行列式の図形的意味(ベクトル・行列・行列式 徹底演習pp.121-129)
●2次元(縦)ベクトルについて、
からなる平行四辺形の符号付き面積は、に等しい。
※反時計回り(表)なら正、時計回り(裏)なら負
行列によって図形が別の図形に写されたるときの(符号付)拡大率は、に等しい
が作る三角形の面積は、に等しい。
異なる2点を通る直線の方程式は、
3点が一直線上にある条件は、
異なる3点を通る円の方程式は、
4点が同一円上を通る円の方程式は、
●3次元(縦)ベクトルについて、
からなる平行六面体の符号付体積は、
スカラー3重積(scalar triple product)に等しい。
※右手系(表)なら正、左手系(裏)なら負
行列によって図形が別の図形に写されるときの(符号付)拡大率は、に等しい。
平行でない2つのベクトルが定める平面の方程式は、
異なる3点を通る平面の方程式は
異なる4点が同一平面上にあるための条件は、